AED使用時の法的リスクは?(刑法・民法・医師法)
2011年09月13日
最近でも時々、AEDに関して法的問題の問い合わせをいただくことがあります。
そこで、詳細をご説明しようかと思います。
結論だけ知りたい方に、申し上げます。
結論 「原則、法的に罪に問われません」
そこで、お時間のあるかた向けに該当する刑法、民法、医師法を順番に見て確認したいと思います。
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【刑法 第37条】
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。
ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
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目の前で倒れている人を助ける際に、呼吸もなく意識もない場合ほっておけば死に至る確率が高いです。
死に至る以上に、害をあたえることは通常ないので、応急処置としての心肺蘇生法をして、仮に相手が亡くなっても罪に問われることなありません。
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【民法 第698条】
管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
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簡単に言えば、原則救命時に何かあっても責任を負わないということですが・・・
しかし、この方の事務管理というのがこむずかしい。救命時に事務をするのか!?
事務管理とは何か?
法律上の義務がない者が、他人のために他人の事務(法律行為や事実行為)の管理を行うことをいう。
うーん、解説もわかりにくい・・・
他人を倒れた人に置き換えて、事務を生命に置き換えるとわかりやすいでしょうか。
「倒れた人のために、倒れた人の生命の管理を行うことをいう。」とも置き換えれると思います。
それでも無茶な感じがしますね。一般市民はさっぱりわからない。何十年も前の法律に限界があるのかもしれません。
今の政府には無理でしょうけれども、今後いらない法律は捨てて、新しく必要な法律は作って欲しいですね。
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医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害 を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
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医師法で、医師免許を持っていないものは医療行為をしてはいけないことになっていますが、
ここでは、解釈の説明で問題ないとしています。
反復継続する意思をもっておこなわない ⇒ 問題ない
突然の救命時の行為は、突然のことですから反復継続する意思はなく、心肺蘇生法やAEDの使用は一時的な応急手当の範囲に入り、医療行為とはみなされない。との解釈ができます。
いやぁ、小難しいですね。
小難しいですが、AEDが普及して7年経過しましたが、法的に訴えられたとか責任を問われたというニュースはありません。
これで、リスクに対する知識は得ていただけたと思います。
心配することなく、積極的にAEDを備え、何かあれば心肺蘇生法やAEDを使用するなどできることをやってください。
全国にAEDやトレーニングマネキンをレンタルしています。
是非、ご活用ください。